給与体系を考えない会社のリスク
起業した場合、いずれ社員を雇うことになると、対価として給与を支払う立場になります。
会社ごとに懐事情もあると思いますが、社員の給与なんて相場に従って決めれば…という経営者の方は、戦略的に給与体系を考えないリスクについて知っておきましょう。
例えば転職組の社員の給与の場合、前の職場の給与と比較して決めたり、本人の希望額や世間的な標準から考えて決めるというケースが多いと思います。
あるいは、昇給や減給のルールもなく、入社したときからずっと同じ給与額で通している場合や、特に文句がでなければそのままでいいだろうと考えるケースもあります。
また、転職したいと申し出があった社員に対してのみ、人材流出を防ぐために給与を引き上げるというケースも考えられます。
いずれにせよ、会社としての明確な給与体系ルールは存在せず、行き当たりばったりで給与を決めていることになります。
社員にしてみれば、どれだけ努力をしても評価してもらえるワケでもなく、成績が悪い人と同じ給料になることに不満を募らせる結果になりかねません。
さらに、成績が良くても悪くても給与が変わらないなら、頑張り損になるから頑張らないという、モチベーションの低下を招く可能性もあります。
こうなると、高い能力を持つ人材は会社を離れ、できない人材だけが会社に残るという現象が起こってしまいます。
そうでなくても人材不足が社会問題となっている現在、良い人材を確保するにはきちんと給与体系のルールを決めることが重要です。
給与体系のルールを決める
ルール作りのポイントは、まず「労働分配率」を決めることから始めましょう。
企業の規模、分野、成長見通しなどからある一定の額を取り決めておきます。
もちろん将来的に業績次第で軌道修正をしていけば問題ありません。
次に、昇給と減給のルールを作ります。
一度上げた給与を下げるなんてできない、という社長もいますが、経営困難に陥れば社長と社員の給与を下げることは避けられないでしょう。
だったら最初にきちんと昇給と減給のルールを明確にしておく方が、社員からの納得も得やすくなります。
また減給もありえる、ということが社員に適度な緊張感を与えますので、仕事に尽力するというメリットもあります。
人件費を「未来への投資」と考える
高い能力を持つ社員が辞めて、やる気がない社員ばかりと嘆く社長もおられます。
まず根本的に、このような社長は人件費をコストと考える傾向にあり、社員の成長を考えたり経営力の強化を望むことはできないでしょう。
給与という人件費はコストではなく、会社をより良くするため、成長させるための投資であると認識を変えれば、自ずと給与体系についても重要視できるようになるのではないでしょうか。